「福祉住環境コーディネーター」はどんな資格!?

Photograph by Arsineh Houspian.  +61401320173 arsineh@arsineh.com

2020年に東京パラリンピックが開催されます。そのとき、世界中から訪れるであろう障がいを持つ方たちのために今、パラリンピックの競技開催予定地では福祉住環境コーディネーターが活躍中ではないかと思います。

この「福祉住環境コーディネーター」という言葉を初めて目にする方や、言葉だけは知っているという方も多いと思います。一体どんな仕事なのでしょうか。

 

福祉住環境コーディネーターとは!?

少子高齢化や家庭内の介護力の縮小などの時代の流れの中で、高齢者の「人生の最後まで地域と関わりながら、自宅で安心して暮らしたい」というニーズを満たし、更に従来の専門職の立場からの関わりでは、住環境の整備に必要な要素が抜け落ちやすいという課題を解決する。そのために誕生したのが、福祉住環境コーディネーターという資格です。
福祉住環境コーディネーターは、福祉・医療・建築の3つの分野についての知識を持ち、高齢者や障がい者の暮らしやすい住宅や施設・街づくりを行います。

2級以上の資格者は、介護保険を利用した住宅改修を行った際に必要となる「住宅改修が必要な理由書」を作成できます。1級の資格者は、介護や住環境について高い専門性を持ち、住宅の新改築の提案ができ、更に街づくりにも関われるレベルと認められます。福祉住環境コーディネーターの知識は、福祉・医療・建築・行政などの分野で特に必要とされます。

福祉業界なら、ケアマネージャー、介護ショップや介護用品メーカーの営業、福祉用具専門相談員、福祉用具レンタル店のスタッフ、介護施設の管理職などの職業やポジションにおいて、この資格を活かしながら仕事ができます。医療・保健の分野なら、リハビリテーションを行う中で患者の住環境の整備や福祉用具についての情報提供や助言ができます。

建築業界では、住宅改修の際に依頼者やその家族である高齢者や障がい者の希望やニーズに合ったプランを提案できます。行政では、行政機関が設置する在宅介護支援センターや高齢者相談センターなどで、在宅介護にともなう住宅改修や福祉用品の利用についての相談を受けることができます。

傾聴能力、コミュニケーション能力、チームプレイ能力、そして新しい事を学び続ける向上心を持つ人が、福祉住環境コーディネーターに向いています。

 

 

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福祉住環境コーディネーターを取るためには?

福祉住環境コーディネーターの資格を取るためには、東京商工会議所検定センターが実施する福祉住環境コーディネーター検定を受験して合格する必要があります。受験資格はありません。学歴・年齢・性別・国籍による制限は全くありません。実務経験も必要ありません。障がい者や妊婦、日常生活で補助具を使っている人は「特別対応受験の申請」を行えば、受験時に障がいの種類に合った試験環境が用意され、補助具の使用も認められます。3級と2級は同じ日の午前と午後に実施されるため、同時に受験できます。また、3級を飛ばして2級から受験することもできます。ただし、1級は2級の合格後でないと受験できません。1級~3級ともに、100点中70点を取れば合格です。2016年度は1級の合格率が7.3%、2級の合格率が48.3%、3級の合格率が47.3%です。

勉強方法

①東京商工会議所発刊の公式テキストや公式通信講座を利用する

②市販のテキストを利用する

③民間の通信講座を利用する

通信講座によっては教育訓練給付制度(※)を利用することもできます。検定に合格し資格を取得したあとは、任意で福祉住環境コーディネーター協会へ入会し、他の会員との交流やイベントへの参加などを通じてスキルアップを図ることができます。

※教育訓練給付制度・・・一定の要件を満たした人が厚生労働大臣の指定する講座を修了した場合、修了時点までに実際に支払った学費の20%(上限10万円)が支給される制度

 

 

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福祉住環境コーディネーターの給料は?

現状では、残念ながらこの資格分野だけの仕事はほとんどないため、この資格だけで生計を立てるのは非常に厳しいと言わざるを得ません。福祉・医療・建築・行政のいずれかの分野で核となる職域を持ち、その中でこの資格の知識を生かすという形がほとんどです。

活かせる職場

住宅メーカー、リフォーム会社、都市計画事務所、在宅介護支援センター、介護施設、訪問介護事業所、福祉機器メーカー、病院、公共施設

給料はこれらの企業の給与制度次第です。福祉住環境コーディネーターを取得していれば資格手当てが付く会社もあり、就職や転職にも有利になりますが、全体的には給与面での待遇は不充分と言わざるを得ません。

しかし、時代の流れからかんがみて今後はこの資格の社会的評価も大きく高まり、遠くない将来に給与面での待遇も改善の方向へ進むと予想されます。

介護の現場ではケアマネージャーがいるため、介護福祉士やヘルパーが表立ってこの資格を活用することはあまりないと思われますが、将来、ケアマネージャーや福祉機器を扱う職種などへのシフトを考える人は、早い時期にこの資格を取得した方が有利です。

また、給与面には反映されなくても、介護についていろいろな視点から掘り下げて考えることができるようになるので、介護職員がこの資格を取得することには意味があると思います。

 

 

福祉住環境コーディネーターの未来は?

厚生労働省は、高年齢者が健康で意欲と能力がある限り、年齢に関わりなく働き続けることができる社会の実現を目指しています。同時に、認知症の人も住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指しています。このような時代となり、職場の労働環境や地域の生活環境は、どんな人でも快適で利用しやすいものが求められるようになりました。

日本人は30歳代でマイホームを持つ人が多いため、自分が老いた時に暮らしやすい住宅を建てるという意識を持つ人は少ないと思います。高齢になり、それまでの住環境では暮らしにくさを感じるようになって初めて住宅改修を考える場合が多いでしょう。

しかし、住環境が原因で高齢者が一度でも転倒して骨折などで長期間動けなくなればADLが著しく低下するため、本当は若い時に家を建てる段階で、老いた時の暮らしやすさを考えて設計するのが理想なのです。

介護が必要になってからはもちろんのこと、健康寿命を延ばすためにも早い時期からの住環境の整備の大切さを社会全体が強く認識すれば、今後、福祉住環境コーディネーターの需要が更に高まり、それにともなって新しいビジネスチャンスも生まれ、この資格の将来性も広がると予想されます。

 

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まとめ

福祉住環境コーディネーターについて、おおまかにお分かりいただけたでしょうか。介護寿命より健康寿命を延ばすことが大切であるという意識が広がり、多くの人がバリアフリー化された公共施設を利用して、その使いやすさを実感する機会が増えました。

更に、2020年のパラリンピックの開催にともなって障がい者の暮らしやすい環境整備の大切さがクローズアップされれば、この資格の社会的評価や信頼度も大きく高まることでしょう。

特に、介護の仕事にたずさわる方にとっては日々の介護の質を高めることができるので、資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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